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不動産 Archive

マンション駐車場と専用使用権について

  • Posted by: Yasuyuki Maeda
  • 2010年1月 4日 19:00
  • 不動産

マンションの駐車場の利用関係について,法的には専用使用権の法的性質,内容が不明確であること,現実的には,マンションにおける駐車場の絶対数の不足を原因として,駐車場の専用使用権を巡る紛争が多く,深刻な問題となっているようです。

マンション駐車場の専用使用権については,そもそも分譲業者が,建物専有部分及び敷地共有持分とは別に,共有部分である敷地について駐車場としての専用使用権を分譲して,その対価を取得する販売方式が,購入者に対して分譲したはずの敷地について,二重の利益を得ており,公序良俗に反し,無効ではないかという問題がありました。建設省も昭和54年に,このような取引形態は避けるべき旨の通達を発していました。ただ,この点については,昭和56年の最高裁判決によって,「公序良俗違反として無効とはいえない」と判断され,一応の解決がなされています。

そして,平成10年には,マンション駐車場と専用使用権に関する重要な最高裁判決が4件続けて言い渡され,いくつかの争点に関する判断がなされました。

その一つが,マンション駐車場の専用使用権に関する分譲代金が誰に帰属するかという問題です。つまり,マンション駐車場の専用使用権の分譲が有効だとしても,それは管理組合乃至区分所有者全員の委任に基づいて分譲を行ったものであるから,分譲代金は管理組合乃至区分所有者全員に返還すべきではないかという問題です。この点について,平成10年10月22日最高裁第一小法廷判決(民集52-7-1555)は,あくまでも売買契約書の解釈ではあるのですが,分譲業者に帰属する旨判断しました。

2番目が,専用使用権の内容を変更するのに,専用使用権者の承諾なく,管理組合や集会決議によって一方的に変更することができるかどうかという問題です。具体的には,分譲時に決められた駐車場利用料を,規約の設定変更や集会決議によって,増額変更できるかどうかという問題です。法的には,区分所有法31条1項後段の「特別の影響を及ぼすとき」に該当するかという問題ですが,それ以前にそもそも専用使用権の法的性質をどのように考えるか(債権的利用権か,物権的利用権か,それとも共有物の管理に関する合意に基づく利用権か)という問題も絡んでくる問題です。

この点について,平成10年10月30日最高裁第二小法廷判決(民集52-7-604)は,区分所有法31条1項後段の「特別の影響を及ぼすとき」について,「規約の設定,変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較考慮し,当該区分所有関係の実態に照らして,その不利益が区分所有者の受任すべき限度を超えると認められる場合をいう」とし,「使用料の増額についていえば、使用料の増額は一般的に専用使用権者に不利益を及ぼすものであるが、増額の必要性及び合理性が認められ、かつ、増額された使用料が当該区分所有関係において社会通念上相当な額であると認められる場合には、専用使用権者は使用料の増額を受忍すべきであり、使用料の増額に関する規約の設定、変更等は専用使用権者の権利に「特別の影響」を及ぼすものではないというべきである。」と判断しました。

要するに,使用料を増額する必要性と合理性それから増額された使用料の社会的相当性があれば,規約の変更や集会決議によって,一方的に使用料の増額変更ができるということです。

更に,「増額された使用料がそのままでは社会通念上相当な額とは認められない場合であっても、その範囲内の一定額をもって社会通念上相当な額と認めることができるときは、特段の事情がない限り、その限度で、規約の設定、変更等は、専用使用権者の権利に「特別の影響」を及ぼすものではなく、専用使用権者の承諾を得ていなくとも有効なものであると解するのが相当である。」と判断しました。これを前提にすれば,増額の必要性と合理性があれば,使用料の増額自体は正当なものとされるのであるから,増額金額が不適当であっても,総会決議等に瑕疵が生じることにはならないということになります。

そして,増額された使用料が社会通念上相当なものか否かについて、「当該区分所有関係における諸事情、例えば、(1)当初の専用使用権分譲における対価の額、その額とマンション本体の価格との関係、(2)分譲当時の近隣における類似の駐車場の使用料、その現在までの推移、(3)この間のマンション駐車場の敷地の価格及び公租公課の変動、(4)専用使用権者がマンション駐車場を使用してきた期間、(5)マンション駐車場の維持・管理に要する費用等を総合的に考慮して判断すべきものである。」と判示しています。

使用料増額の効果発生時期は,変更された規約内容や総会決議によることになりますから,それ以降は,増額された使用料を支払わなければ債務不履行となり,解除の対象になるとも考えられます。
しかし,前述のように,増額金額が不適当であっても,社会通念上相当な額と認められる部分で効力が発生するので,最終的には裁判所の判断を待たなければならないことがほとんどと思われます。にもかかわらず,相当な額を専用使用権者側で判断し,それを支払わなければ解除されるのでは酷です(管理組合が一方的に定めた増額使用料を支払わざるを得なくなってしまう。)。そこで,前記最高裁判決も,理論的構成は明らかではありませんが,解除の効果を否定しています。

以上を要約すると
1 駐車場の専用使用権分譲も有効
2 その分譲代金は,分譲業者に帰属
3 駐車場使用料は,必要性合理性があれば,規約や集会によって,一方的に増額変更できる。
4 但し,その額は社会通念上相当な額の範囲内
5 増額された使用料を支払わないからといって,解除が直ちに認められるわけではない。
ということになります。

平成10年の最高裁判例では問題となっていませんでしたが,マンション駐車場の専用使用権については,まだ以下のような問題点を抱えています。
専用使用権は譲渡できるのか。専用使用権そのものに内在する制約があるか。
規約によってその譲渡に制限が加えられている場合,それに反して譲渡した場合の効果は。
専用使用権を時効取得することができるか。
などです。
これら問題については,また機会をみてまとめてみます。

損害賠償の予定 2

損害賠償の予定については
 「NDA(秘密保持契約)」
 や
 「損害賠償の予定」
で述べましたが,契約書を作成する上で,かなり重要な条項ですね。

請負契約では,工事完成が遅れた場合,1日につき契約金額の1000分の○の割合による金員を損害賠償とする条項をよく見かけます。

売買契約書では,決済が不能になった場合,契約金額の20%を違約金とする旨の条項があります。

しかし,最近気付いたのですが,不動産売買契約書には,代金の支払や引渡が遅延した場合の損害賠償の予定を定めた条項を見かけません。

宅建協会の不動産売買契約書の雛形を見ても,遅延によって契約を解除した場合の違約金の定めはありますが,遅延したこと自体の損害賠償の予定が定められていません。

しかし,現実には,契約を解除するほどではないけど,引渡が遅延したことによる損害賠償をしたいという場合もあるはずです。
このような場合,損害賠償の予定がないと,損害額を証明しなければいけません。
 買い換で引越を既に決めていたから,引渡が遅れたことにより,その期間中ビジネスホテルに宿泊しなければならなくなったので,そのビジネスホテル宿泊代とか,荷物を倉庫に保管しておかなければ行けなくなった保管料とか...。
結構この証明も大変です。
ということは,売買契約書でも,履行が遅延した場合の損害賠償の予定の条項をいれると有益なのではないでしょうか

遺産の見つけ方 2

亡くなられた方(被相続人)の遺産の見つけ方の続きです。

被相続人が所有する不動産はどのように見つければいいでしょうか。

まず,その方の名寄帳を市町村役場から取得しましょう。
名寄帳とは,ある方が,その管轄区域内に所有する不動産の一覧表で,市町村が固定資産税を課税するためにもちいる台帳です。
この名寄帳は,原則として,その本人しか取得することができませんが,その相続人であれば取得することができます。
ですので,取得する際には,自分が被相続人の相続人であることを証明するため,戸籍謄本,除籍謄本等を持参する必要があります。

但し,この名寄帳を見ても,その管轄区域内の不動産しか掲載されていません。例えば,鎌倉市役所から取得した名寄帳には,鎌倉市所在の不動産しか掲載されいませんので,もし,茅ヶ崎市にも不動産を所有していた場合には,それは漏れてしまいます。

ですので,不動産の場合も,預貯金の場合と同様,ある程度,どこに不動産を所有していたらしい,という推測が必要になります。

もし,どこかに不動産を所有していることが発覚したら,その不動産の登記簿謄本(最近は,「全部事項証明書」という。)をとってみましょう。
もし,その不動産を担保に借入をしていた場合,登記簿謄本の乙区欄に,抵当権や根抵当権の設定登記が記載されているはずです。そして,その登記の記載に「共同担保目録第○○号」という記載があるかもしれません。あれば,この共同担保目録も取得しましょう。ここには,複数の不動産を担保に供した場合のその不動産のリストが記載されています。この不動産は,同一管轄区域内に限らず,全国に存する不動産が対象になるので,この共同担保目録から被相続人の新たな不動産が発見される場合もあります。

家賃の増額請求をされた場合!

家賃の増額請求を家主からされた場合,どうしたらよいでしょう。

増額請求に対して拒否をした場合,家主はこんなことを言うかもしれません。

「応じていただけない場合には,出て行ってもらうしかありませんね。」と。

しかし,家賃の増額請求に応じないからといって契約が解除となることはありません。
ですので,立ち退く必要もありません。

今後の家賃はどうすればいいでしょうか。
基本的には,従前の家賃を支払っていけばいいでしょう。

但し,家主側が提起する家賃増額の裁判で,敗訴をした場合には,差額分も遡って
支払をしなければなりません。しかも,年率1割の利息をつけなくてはいけません。

このようなリスクを回避するためには,家主側に増額請求をする根拠を提示してもらい,
同時に近隣相場との乖離状況等を調査するなどして,その正当性を吟味して,増額
請求に応じるか否かを決めるとよいでしょう。

裁判で決着をつけようと考えた場合,家主の増額請求は拒絶することになりますが,
この場合,家主が従前の家賃額では受領拒否をする場合があります。
しかし,受領拒否をされたからと言って,家賃の支払いを全くしないと,家賃の不払いを
理由に契約が解除されてしまいますので,このような場合には,家賃を供託する必要
がありますので,注意が必要です。

共有物分割

  • Posted by: Yasuyuki Maeda
  • 2008年7月18日 19:52
  • 不動産

離婚のときもそうでしたが,なぜか似たような事件の相談が続けてありました。それが共有物分割に関する事件です。

「共有」とは,共同所有のことを言います。
共有状態となる原因は,色々とあるでしょうが,仲間内や夫婦で,ある物をお互いにお金を出し合って購入した場合や,相続で,共同相続人が複数いて,共有となる場合などが考えられます。

前者の場合は,典型的な共有なのですが,後者の場合は「遺産共有」と言って,典型的な共有とは,その分割手続が異なります。
前者の場合には,「共有物分割」といい,後者の場合には「遺産分割」といいます。
いずれも共有者間の協議によって,分割ができるという点では共通するのですが,裁判手続になった場合,前者は,「共有物得分割訴訟」という地方裁判所の範疇になるのに対して,後者は,「遺産分割の調停(審判)」という家庭裁判所の範疇になるという違いがあります。
地裁か,家裁かという違いだけで,どちらで行っても同じような気がしますが,一応,そのように分けて考えられています。

どのように分割するかというと,
現物分割
価格賠償による分割
競売による分割
という方法があり,この順番で裁判所は検討することになります。価格賠償による分割というのは,共有者の一部が共有物を取得し,他の共有者にその持分相当額の賠償金を支払うという分割方法です。競売による分割は,共有物を競売にかけて,その売却金を分けるという方法です。

筆界特定制度

  • Posted by: Yasuyuki Maeda
  • 2008年6月24日 18:10
  • 不動産

境界に関する紛争は,従来,「境界確定訴訟」という裁判手続で解決されていました。

しかし,やはり裁判手続なので,それなりの費用と時間を要していました。

そこで,平成18年1月20日からスタートした「筆界特定制度」という制度が生まれました。
これは,専門家の協力を得て,簡易・迅速に行政レベルで筆界の位置を明らかにしようとする制度です。

この筆界特定制度創設後も,従来の「境界(筆界)確定訴訟」がなくなるわけではありません。ですので,筆界特定制度を使わず,筆界確定訴訟を提起しても構いません。また,両方の手続が同時に並行して進むこともあり得ます。

そこで,今後は,境界に関する紛争は,このどちらの制度を利用するかという選択をしなければならなくなります(この二つの制度以外にも,境界に関する紛争は,民事調停やADRなどの選択肢がありますが,省略します。)ので,筆界特定制度の特徴を指摘します。

まず,筆界特定制度は,筆界特定登記官が,筆界調査委員という専門家の意見をきき,それを参考に,筆界を特定します。公の機関が示した筆界ということで高度の証明力は有することになるでしょうが,しかし,これはあくまでも行政庁が示した筆界に過ぎません。
裁判所は,これとは異なる独自の筆界を定めることができるのです。
ですので,効力は,裁判所の「筆界確定訴訟」の方が上になります。

この点からすると,筆界特定によって筆界が特定されたとしても,まだ訴訟になる可能性があるのであれば,最初から訴訟によった方が,時間と費用を節約できるということになるかもしれません。ただ,最初に筆界特定制度を用いておけば,そこで収集された資料等が全て裁判所の証拠とされることによって,訴訟での審理を大幅に短縮できるというメリットも期待できます。

次に,筆界特定制度は,速い(と言われています。)。
大体6か月ぐらいと言われていますが,この制度は好評らしく,かなり混んでいるようです。
ちなみに,境界画定訴訟の平均審理期間は,2年だそうです。

更に,筆界特定制度は「当事者対立構造」をとりません。
筆界確定訴訟の場合,境界の位置で紛争となっている一当事者が「原告」となり,その相手方が「被告」となり,「対立構造」をとります。すなわち,紛争そのものが顕著に現れます。
しかし,筆界特定制度は,筆界を特定して欲しい者の申請が必要ですが,その「相手方」という概念がありません。申請をうけた登記官が,職権で筆界を調査し,利害関係人に意見聴取などして筆界を特定しますので,「対立」という構造にはなりません。ですので,隣人間で「訴訟」というのを避けたいという方にとってみれば,とてもいい制度といえます。

不動産の任意売却が迅速化?

強制執行手続や競売手続きが,不動産を債務者(不動産所有者)の意思に反して強制的に売却してしまうのに対して,債務者(不動産所有者)の協力の下,不動産を市場で売却することを「任意売却」と呼んでいます。

本日の日経新聞1面に,この任意売却の手続きを簡素化する方針で,次期国会に関連法案が提出予定との記事が掲載されていました。

「任意売却の手続き」なんていうと,なんか難しそうな手続きが必要のように思われますが,なんてことはない,通常の不動産の売却です。

ただ,私のような弁護士が関与する任意売却は,通常,担保がついており,また,その担保に関する債権(被担保債権)は,不動産の価値を上回っており,更に,その後順位の担保がいくつも(しかも,その担保権者は,ひと癖もふた癖もあるような業者だったり)ついているようなケースです。

このような担保権がついたままでは,通常売却できませんから,売却前に担保権者と個別に交渉をして,担保権抹消について,協力をお願いしなければいけません。協力をお願いすると言っても,ただ「お願いします。」と頭を下げても協力してくれません。「○○円支払うから,担保を抹消して。」というお願いになります。
担保権者が有する債権額を全額支払うことができれば問題ありませんが,通常は,その不動産を売却した売却金を原資として支払うというスキームになりますので,全額は支払うことができません。

後順位の担保権者に対しても,「ハンコ代」と称して,10万円から100万円程度の金銭を支払って担保を抹消してもらう交渉が必要になります。

このような任意売却は,市場で売却をするため,裁判所による競売手続きによる売却よりも,ほとんどのケースでより高価に売却することができるため,上順位の担保権者は,より多く債権を回収することができるし,また,後順位の担保権者も,競売の場合には,配当が回らなければ0円で強制的に担保が抹消されてしまいますが,任意売却の場合には,多少のハンコ代がはいるというメリットがあります。
更に,債務者(所有者)も,任意売却に協力するということで,「引っ越し代」等の名目で多少の金員を手にすることができるので,関係者全員にとってメリットがある手続きといえます。

しかし,ごくまれに,後順位の担保権で,競売になった場合には100%配当が回らないにもかかわらず,莫大なハンコ代を要求する担保権者がいることもあります。
この任意売却は,関係者全員の協力がなければ手続きを進められませんので,このような担保権者がいる場合,任意売却をあきらめるか,担保権者の要求に従って莫大なハンコ代を支払うしかありませんでした。

しかし,今後,この任意売却に際して,後順位の担保権者がだだをこねた場合,裁判所の手続きで後順位担保権を抹消することができるようになるようです。

この抹消できる範囲がどこまでかはまだわかりませんが,私の実務上の経験では,任意売却で一番だだをこねるのは,不動産に差押をしている税務署や地方公共団体ですね。配当順位で劣後するにもかかわらずです。でも,これらの差押を強制的に抹消することはできないのでしょうね。

土地の値段

  • Posted by: Yasuyuki Maeda
  • 2008年5月 9日 22:30
  • 不動産

土地の値段ってわかりづらいですね。

公的な評価としても
 公示価格(国土交通省)
 基準地価格(都道府県)
 路線価(国税庁)
 固定資産税評価額(市町村)
とあるので,一物四価とも言われています。

公示価格と基準地価格は,適正な評価を求めるために不動産鑑定士が評価を求めますので,実勢価格にほぼ近い数値になります。
但し,ある時点のある場所の価格ですから,その場所に近い土地の価格の参考にする場合,土地の形状,面積,利用状況,道路との関係等の違いを考慮しなければいけません。

これらの価格は,国土交通省の「土地総合情報ライブラリー」で見ることができます。

路線価は,国税庁が相続税や贈与税を課す基準とするための道路の価格です。
公示価格の8割程度が目安になっています。
この路線価は,国税庁のホームページで路線価図を閲覧することによりわかります。
路線価図をみると,「80E」とか「56D」と表示されています。これは,単位が千円で,1†あたりの値段ということになります。「80」は1†あたり8万円,「56」は,1†あたり5万6000円ということです。「E」とか「D」は,借地権割合で,路線価図に借地権割合の対応表が記載されています。
借地権の値段が問題となったときには,路線価図に記載されている借地権割合なんかが参考にされることが多いです。

固定資産税評価額は,市町村が不動産等の固定資産を有している者に固定資産税を課すための基礎となる価格です。ですので,固定資産税評価額は,建物についてもあります。この固定資産税評価額は,公示価格の7割を目安とされています。
この評価額は,原則として,当該土地の所有者しか閲覧ができません。

これらの公的価格をうまく参考にすれば,ある土地のざっくりとした評価を推測することが可能になります。

不動産業者との取引

少し特殊な債権回収方法です。

不動産業者とトラブッて,「売買代金を返せ!」とか,「仲介手数料返せ!」,「損害賠償だ!」というときは,すぐに宅建協会に相談にいき,「認証の申出」をしましょう。

訴訟だ!仮差押だ!という検討も必要ですが,まずは,「認証の申出」を検討すべきです。

相手が倒産する心配のない(債権回収に問題のない)不動産業者ならいいのですが,吹けば飛ぶような不動産業者だったり,顧客とのトラブルをいくつも抱えている業者の場合,いつ倒産してもおかしくありません。

そうなると,折角,裁判などで,業者に対する損害賠償請求権が認められても,まず回収はできなくなります。

そこで,宅建協会の弁済業務保証金制度というものがあります。
これは,業者と取引して,取引によって生じた債権がある場合,宅建協会から返済を受けることができる制度です。返済を受けることができる金額は1000万円が上限となります(事務所がいくつかある業者の場合,上限はこれを上回ります。)。

この制度を利用すれば,仮に相手の業者が倒産をしても大丈夫です。

しかし,この制度,先着順です。

仮に先にこの制度を利用した人がいて,その人の金額が1000万円の場合,次順位の方はこの制度を利用できません。

顧客とトラブル業者は,いくつもトラブルを抱えている可能性が高いので,早く,認証申出をしておくとよいでしょう。この手続き自体には費用がかかりませんので,念のためやっておくという利用方法も可です。

以上は,業者が,宅建協会の会員になっていることが前提の話です。通常は,会員になっていることが多いです。

欠陥住宅紛争

欠陥住宅に関する争いは,建築士選びで成否が決まるといっても過言ではありません。

あまり欠陥住宅紛争に慣れていない弁護士さんだと,依頼者からヒアリングした欠陥現象をそのまま訴状に記載して,損害賠償額は,工務店の見積書を根拠に決めるという訴訟を行っているのをみかけます。そうすると,建築士には依頼をせず,訴訟内で裁判所が選任する建築士に「鑑定」を依頼することになります。

しかし,裁判所が選任する建築士がくせ者です。どのような経緯で鑑定をする建築士が選任されるのかよくわかりませんが,多分,建築士協会に鑑定をしてくれる建築士の推薦を依頼しているのでしょう。
それが原因か,ある程度,業界内でも地位が上(役職に就いている)の建築士が選任される傾向があるようです。

しかし,得てして,欠陥住宅紛争に関する知識は不足している方が多いようです。鑑定書を見ても,説得的な鑑定書が作成されていません。長々とくだらないことが記載されていますが,結局,「どうしてこれが欠陥なのか」,「その原因は何なのか」という中心的な議論がされていません。
「私が『欠陥』というのだから,『欠陥』だ!」と言わんばかりの鑑定書になっているのです。

これでは,裁判官も判断できません。結局,裁判所も判決を欠くことが出来ないから,延当事者の筋違いな議論に引きずれられて,延々を長期に亘る裁判を続けることになります。

ですので,欠陥住宅紛争は,訴訟を提起する前に,ちゃんとした知識を有した建築士に鑑定書を作成してもらってから訴訟を提起すべきです。

しかし,この「ちゃんとした知識を有した」建築士を探すのが大変です。
この点については,また後日にします。

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