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会社 Archive

取引先倒産対策 1

取引先が倒産する場合に備えての対策は,いくつかあります。

まずは,やはり契約書を見直すことでしょう。
そもそも契約書すら交わしていない場合には,契約書を交わすようにしましょう。

どのような見直しをすればいいでしょうか。
ポイントはいくつかあります。

まず,期限の利益喪失条項を確認しましょう。

例えば,「月末締め,翌月20日払い」という支払期限に関する約束がある場合,ある物を8月1日に納品しても,支払を受けることができるのは,9月20日となってしまいます。そうすると,物を納めてから,最大50日も支払を受けることができません。このような支払者側の利益を「期限の利益」といいます。

この期限の利益があると,8月2日に取引先の信用不安の情報を入手しても,9月20日まで売掛金の請求ができなくなってしまいます。

そこで,信用不安を伺わせるような事情が発生した場合には,この期限の利益を失わせて,直ちに支払を請求できるようにする条項を「期限の利益の喪失条項」といいます。

よくあるのは,
 取引先が,破産や民事再生等の申立をしたとき,差押をうけたとき,滞納処分をうけたとき,不渡りをだしたとき,といった信用不安をしめす事情を期限の利益を喪失させる事情にしています。
 
更に,これに色々な事情を加えることができれば,より強力になるかもしれません。

会社のプライベートな行為?

  • Posted by: Yasuyuki Maeda
  • 2008年6月 2日 18:27
  • 会社

貸金債権等の債権は,長期間放置することよって,消滅時効にかかってしまいます。

その期間は,原則として,
 その権利が行使できるときから10年間とされています。

しかし,その期間には様々な例外がありますので,注意が必要です。

その一つとして,商事消滅時効というものがあります。

これは,「商行為によって生じた債権」について,消滅時効の期間が5年間と短い期間が定めています。

それでは,「商行為」って何なの?というのが問題となりますが,会社の行為については,ほぼ95%?商行為になります。

よって,会社の行為によって生じた債権については,5年で消滅時効にかかると考えて間違いないでしょう(ただ,債権の種類によっては,もっと短期の消滅時効もありますので,全て5年と考えないでください。例えば,請負代金債権は,3年という短期消滅時効にかかります。)。

少し難しい話をすると,商行為というのは,法律に色々と列挙されていますが,そこに列挙されていなくても,「商人が営業のためにする行為は,商行為とする。」という規定があります。

そこで,会社が行った行為のうち,どれが営業のためにする行為で,どれがそうでないかが問題となります。

この点について,多くの学説は,会社には,プライベートな行為という概念がないから,全ての行為が「営業のためにする行為」だと考えています。
この見解によれば,会社の行為で商行為ではないものはあり得ない結果,消滅時効は,10年ではなく,5年が適用されることになります(それよりも短い期間があることは前述のとおり)。

しかし,近時の最高裁判決にて,会社にもプライベートな行為(事業とは関係のない行為)がありうる旨が指摘されました。

ただ,この判例では,情宜に基づく貸付でも,それだけでは,事業とは無関係とは言えないと判断しましたので,どのような行為が会社にとってプライベートな行為なのか明確には示されませんでした。

明確には示されませんでしたが,これに該当するものはこの最高裁の立場でもほとんどないと考えられるので,会社の行為は95%商行為と評価しました。

いずれにしても
短期の消滅時効にかかると考えて行動をした方が,問題ないと思います。

破産か,民事再生か,それが問題。

万策尽き,資金がショートしてしまう。

ここまでくると,破産か民事再生という法的倒産手続を利用することになります。

事業を再建させるためには,民事再生以外にも,私的整理や会社更生といったツールがありますが,膨れてしまった負債をスリム化し,かつ,中小企業の経営者が引き続き続投する方法としては,民事再生が一番適当と思われます。

しかし,もちろん,どんなケースでも再生できるわけではありません。
再生可能性がなくてはいけません。
これは次の3つのファクターで判断します。

まずは現経営者のやる気があるかどうか,というモチベーション。

当然ですが,TOPに立つ者の士気が高くなくては,事業の再建などできません。
ただ,破産は,一時の痛みで終わるかもしれませんが,民事再生は,長期に亘って痛みを感じ,苦しみながら経営をしていなければいけませんので,イバラの道を選択できるかどうかを決めなければいけません。

次に,営業利益が黒字,または黒字に転換できる可能性があるか。

これは会社全体で判断する必要はありません。事業ごとに判断をしましょう。
ある事業は黒字になる可能性がなかったとしても,ある事業で黒字になる可能性があれば,再生の可能性は十分にあります。

それから,当面6か月は資金がショートしない資金繰り計画が立てられるか,ということになります。

この資金繰りは,法的倒産手続である民事再生を前提とした資金繰計画ですので,通常作成する資金繰表とは少し要領が異なります。

例えば,ほとんどの債務への支払は法的に一時ストップできます。ですので,この点では,資金繰りがかなり楽になるはずです。
しかし,他方で,売上が激減します。業種,主要取引先等によって異なるのでしょうが,やはり民事再生も「倒産」の一種です。「倒産」というレッテルを貼られたまま,民事再生前の売上をそのまま維持するのは至難の業でしょう。
ですので,売上については,50%〜70%減となることを前提として資金繰りを考えるべきです。

かなり危なっかしい資金繰りだったのですが,薄氷の上を歩くように再建をした企業もありましたよ。

ただ,いずれにしても,民事再生を検討するのであれば,その時期は早ければ早いほど有利です。

破産はいつでもできます。しかし,民事再生は手遅れになる可能性があります。

業務委託契約書(サービス)

役務(サービス)の提供を目的とする業務委託契約書に関する注意点です。

有形物の制作供給と異なり,サービスの場合,無形なので,その対象が曖昧で,紛争の元となります。

「ここまでやってもらえるはずだった。」
「いや。それは契約の範囲外です。」
というように。

そこで,契約書では,その対象たる業務をできるだけ詳細に特定するようにするということがポイントになります。
想定できる業務内容をできるだけ詳細に記載するようにしましょう。

それから,無形のサービスだけに,役務を提供したかどうかも紛争の対象となるようです。
ですので,無形のサービスを有形の成果物とするため,また,委託者が受託者の業務の進捗を把握するために,定期的に業務報告書を提出する義務を契約書上に記載するとよいでしょう。

NDA(秘密保持契約)

NDA(Non-Disclosure Agreement 秘密保持契約),専ら会社間において,M&Aや業務提携等をする際に,お互い又は一方の秘密を守るために締結される契約です。このNDA締結における注意点をコメントします。

秘密保持契約の骨子は,概略以下のとおりです。
1 「秘密」の定義
2 秘密開示の目的
3 秘密の目的外使用の禁止
4 秘密漏洩の禁止
5 秘密保持の期間
6 損害賠償

1 秘密の定義について
秘密保持契約を締結する場合,通常,秘密の開示者と秘密の受領者が想定されます(もちろん,お互いに秘密を開示し,受領するという場合も想定されます)。いずれの場合も,まず,保護される秘密とは何なのか,保護しようとする「秘密」を明確にするための定義づけをする必要があります。
  開示者としては,保護されるべき秘密が広い方がよく,逆に,受領者としては,狭く限定的な方がいいということになります。
 
(秘密を広くする場合の例)
 第○条 秘密とは,甲から乙に対して,文書,口頭及び電子媒体その他一切の方法を問わず,本件に関して開示又は提供された一切の情報をいう。

(秘密を狭くする場合の例)
 第○条 秘密とは,甲から乙に対して,本件に関して開示又は提供された技術上及び営業上の情報であり,かつ,以下のとおり開示者が秘密である旨を表示したものをいう。
† 書面乃至これに準ずる方法によって開示する場合,秘密である旨を当該書面等に明示的に表示する。
† 口頭によって開示する場合,開示時に秘密である旨を告げ,かつ,その後5日以内に秘密情報の内容及び開示日時を記載した書面にて秘密である旨を表示する。

このように秘密を定義づけしても,次のような一定の例外をもうけているのが一般的と思われます。
 † 開示時に受領者が既に入手していた情報
 † 開示時に既に公知の情報
 † 開示後,当事者の責によらず公知となった情報
 † 正当な権限を有する第三者から秘密保持契約を負うことなしに入手した情報
 † 官公庁又は法令に基づき提出乃至開示を命じられた情報


2 秘密開示の目的
 秘密保持契約を締結して秘密を開示するということは,業務提携,資本参加,及び,これらに先立つデューディリジェンス等の目的があるのが通常です。その目的を明示しておくことによって,後記の目的外使用か否かの基準を定めることができます。

3 秘密の目的外使用の禁止
 開示された秘密はその目的のためだけに用いられるべきであり,目的外使用を禁止することが必要になります。

(記載例)
第○条 当事者は,開示された秘密を第○条記載の目的以外に用いてはならない。

4 秘密漏洩の禁止
受領した秘密を第三者に開示・漏洩をしてはならない,という秘密保持契約の本質部分となります。
 
但し,これにも次のような一定の例外を設けているのが一般的です。
† 開示者の承諾ある場合
(開示者からすれば,後に「承諾した」,「しない」というトラブルを回避するために,「書面による承諾」を契約上要求するのが望ましいでしょう。)
† 受領者側の役員及び担当社員,並びに,弁護士,会計士,税理士等の専門家に対して開示する場合。
(これも開示者からすれば,開示が許される者の範囲を明確化し,かつ,これらの者と受領者と間で別途守秘義務契約を締結させるのが望ましいでしょう。)

また,秘密漏洩が起こらないよう防衛する意味合いで,開示された秘密情報の複製を禁止する条項を設ける契約書もあります。

5 秘密保持の期間
 秘密情報は,2の目的が達成又は不達成の場合でも,一定期間秘密として扱われる必要があるので,契約期間終了後も3年乃至5年程度秘密漏洩の禁止の効力が継続する旨を定めています。

6 損害賠償
 秘密保持契約を締結したにもかかわらず,受領者側が秘密を漏洩してしまった場合,開示者は,それによって損害を被れば受領者に対して損害賠償請求をすることができます。

「倒産と債権回収」 にも記載しましたが,

第○条 甲の故意又は過失によって、乙に損害を発生させた場合、甲は乙に対してその損害を賠償する義務が存する。

という条項を見かけますが,これは法律上当然のことですので,あえて記載する法的な意味はなく,確認的又は抑止的効果しかありません。

どうせなら,もっと意味がある条項にしましょう。

契約を反故にされ,秘密を漏らされてとしても,何が大変って,漏らされた事による損害を立証することが大変なのです。ですので,この立証を軽減させるような条項を設けたいですね。

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損害賠償の予定

NDA(秘密保持契約)」で,契約違反があった場合,損害を立証することが大変だから,この立証を軽減するような条項を設けましょう,と記載しました。

この軽減するような条項が,具体的にどのようなものか言及しませんでしたが,「損害賠償の予定」と言います。
実際にこのような条項が使われている契約書は余り見かけないのですが,とても重要だし,有益な条項です。

どういうものかというと,読んだままですが,損害賠償の額を予め当事者間で決めておきましょう,ということです。

例えば,「もし,契約違反があった場合には,損害賠償額は100万円とする。」という合意をした場合,損害賠償として請求できる金額は100万円ということになります。

これは,請求者にとって見れば,損害額を立証する必要がない反面,もし実際の損害がこれを上回る場合でも,100万円を上回る請求ができない,ということになります。請求される側からすれば,請求される損害額の上限を決めておける(万が一のことがあっても,100万円を超えては請求されない。)という効用があります。

請求者側からすれば,もし実際の損害額がこの予定額を上回った場合,100万円を超えて請求できないというリスクがあります。このような場合,
「但し,甲に生じた実際の損害がこれを超えるときは,甲がこれを証明した場合,実際の損害額を請求することができる。」というような条項にしておけば,請求者側にとって見れば,有利な条項になります。

なお,損害賠償の予定額は,このように定額で決めることもできますし,
「販売価格の○%とする。」とか,
「契約金額の○%とする。」というように
損害額を計算する計算式でも表示することが可能です。

ですので,このような損害賠償の予定は,NDAだけではなく,取引基本契約書にも非常に有益です。

下請法適用の効果

 下請法が適用される場合,親事業者の義務と禁止事項が定められています。

親事業者の義務
 ア 書面交付義務
 イ 書類作成・保管義務
 ウ 下請代金の支払期日を定める義務
 エ 遅延利息の支払義務

禁止事項
 ア 受領拒否の禁止
 イ 下請代金の支払遅延の禁止
 ウ 下請代金の減額の禁止
 エ 返品の禁止
 オ 買いたたきの禁止
 カ 購入・利用強制の禁止
 キ 報復措置の禁止
 ク 有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止
 ケ 割引困難な手形の交付の禁止
 コ 不当な経済上の利益の提供要請の禁止
 サ 不当な給付内容の変更・やり直しの禁止

これらの義務や違反行為があった場合,公正取引委員会が是正を求めるよう勧告・公表を行っています。
また,最高50万円の罰金が科されます。

要は,違反行為があった場合,下請業者としては,違反行為を公取に告口して,公取からの勧告や公表,罰金といった精神的圧力を加えて,是正をしようとしているのです。

この中で弁護士として注意をしたいのが,遅延利息の支払義務でしょう。
通常,下請代金の支払を訴訟等で求める場合に,遅延利息(損害金)を加算して請求しますが,特に契約で定めがない場合には,年6%の遅延損害金となります。
しかし,下請法の適用がある場合には,民法や商法や契約に優先して,年14.6%になります(14.6%を超える利率が契約で定められていた場合には,そちらが優先するでしょうが,通常はありません。)。

また,この利率は,法定支払期日である下請業者の給付を受領の日から起算して60日が経過した日から支払日までになります。契約上,受領日から45日が支払期日と定められていた場合でも,この14.6%が適用されるのは60日経過後になります。

タンス株券ってどうなるの?

  • Posted by: Yasuyuki Maeda
  • 2008年3月31日 09:30
  • 会社 | 金融

2009年(平成21年)1月を目標として,株券電子化への準備が進められています。

現在,「ほふり」(株券保管振替機構)に株券を預託している方は,電子化に伴い,自動的に電子帳簿に記録されるため問題ありません。

株券を手元に持ったまま,株券が電子化されると,もっている株券は無効になってしまいます。
株式自体の権利が失われるわけではないのですが,株主名簿上の名義で発行会社が設定する「特別口座」によって管理されることになります。

自分の名義になっているのであれば,自動的に「特別口座」によって管理されるので,問題ありません。しかし,この「特別口座」は,株式の売却等の流通を目的としていないので,売却には時間を要する可能性があります。

他人名義の場合,その名義の「特別口座」によって管理されるため,他人によって勝手に株式が処分されてしまうリスクがあります。

いずれにしても,よほど「株券」自体に思い入れがない限り,早急に「ほふり」に預託することが望ましいですね。

なお,株券の電子化は,上場会社の株券についてだけですので,非上場会社の株券には電子化の制度は適用されません。

株券を持っていたはずだけど,紛失してしまった,という場合には,
「株券失効制度」を用いて,紛失した株券を無効にして,株券の再発行をしてもらう必要があります。

下請法の対象

  • Posted by: Yasuyuki Maeda
  • 2008年3月28日 18:48
  • 会社

下請法(下請代金支払遅延等防止法)は,親事業者による下請事業者に対する優越的な地位を利用した濫用的行為を取り締まるための法律です。
この法律を知っていれば,泣き寝入りをする必要がないかもしれません。

まず,この下請法が適用される場面かどうかを判断する必要がありますが,これを判断するためには,
1 取引の内容
2 資本金の規模
の両面から判断する必要があります。

取引内容について,次のいずれに該当するかを判断する必要があります。
 イ 物品の製造委託
 ロ 物品の修理委託
 ハ プログラム作成に関する情報成果物作成委託
 ニ 運送・物品の倉庫における保管及び情報処理に関する役務提供委託
 ホ ハ以外の情報成果物作成委託
 ヘ ニ以外の役務提供行為(但し,建設工事は含みません。)

そして,イ〜ニまでの行為は
 親事業者の資本金     下請事業者の資本金
  3億円超       →  3億円以下
  1千万円超3億円以下 → 1千万円以下
が下請法の対象となります。

ホとヘの取引については, 
 親事業者の資本金     下請事業者の資本金
  5千万円超       → 5千万円以下
  1千万円超5千万円以下 → 1千万円以下
が下請法の対象です。

下請法の適用がある取引の場合,親事業者にはどのような規制があるのでしょう。
それは次回にします。

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